人との出会いにより名古屋で起業
ートライエッティングさんについて教えてください。
長江:
株式会社トライエッティング(TRYETING Inc.)は認識・未来予測・最適化を主とした「知能作業」を自動化する名古屋大学発AIベンチャー企業です。在庫管理・勤務シフト管理を中心としたサプライチェーンに関わるヒト・モノの最適化を得意とし、メーカー・小売・物流・商社など幅広い領域で「知能業務自動化」に取り組んでいます。
AI技術の導入課題である「導入コスト・開発期間の長大化」を解決する『UMWELT(ウムベルト)』システムを開発し、予測系業務の自動化ソリューションを企業の基幹システムへ提供しています。また、複雑なシフトもAIがワンクリックで作成する「HRBEST(ハーベスト)」を開発、販売も行っています。
ーミッションとして掲げている「明日の未来を、今日つくろう」についてどのような想いが込められているのでしょうか。
長江:トライエッティングという社名は“Keep TRYING to make something new which doesn’t exist YET!(未だ存在しないものをつくるものづくりにトライし続けよう)”が由来となっています。この“TRYING”と“YET”からトライエッティングが生まれました。この言葉をもう少しコンパクトに、そして私たちのものづくりへのスタンスを簡潔に表した言葉が“Creating The Future of Tomorrow,Today!(明日のものづくりを、今日しよう)”です。「今日の社会になくて、明日の社会には当然のようにありふれていて、それがない世界を想像できないようなものづくりを、今日発想して創ろう」という思いが込められています。
例えばトランジスタのような、事業活動に不可欠で、それがない時代に戻ることができないような不可逆なインパクトを持つ「明日の未来をつくる」製品を、世界の誰も未だ見たことがない「今日つくる」ことを目指す、という想いを込め「明日の未来を、今日つくろう」をミッションとして掲げています。
ー名古屋でビジネスすることとなったきっかけを教えてください。どうして名古屋を拠点として起業しようとお考えになったのでしょうか?
長江:弊社は名古屋大学発のベンチャー企業です。大学時代、私は名古屋大学に所属しておりまして、CTOの竹島とCOOの菅沼の3人で一緒に共同創業したんです。そういうことから、生活拠点が名古屋だったというのがまず1つ非常に大きいですね。
創業後、営業するとなるとやはり土地勘があった方がいいと思い、営業しやすい場所ということで拠点を名古屋にしました。加えて、現在は東京と比較して物価や家賃など考えると名古屋でお仕事をするメリットも出てきました。雇用という観点で社員の生活を支えていかなければならないため、そういう意味では社員のメンバーも過ごしやすい地域に本拠地を構えられていて結果的にも良かったなと考えております。
ー上田社長は元々福井県のご出身とのことでしたが、ご自身の地元ではなくここ名古屋で会社を興そうと思ったきっかけなどはあったのでしょうか?
上田:10年前に起業したタイミングで名古屋に来ました。
足場レンタル事業は15年ほど前に福井県敦賀市で始めました。ですが、関西、名古屋、関東を中心としてレンタル事業を行ってきたため、毎日新幹線で福井県から移動する日々を過ごしていました。徐々に疲労も溜まり、思い切って起業するときに人のご縁があって名古屋を本拠地として活動することにしました。
長江:業容を180度ガラッと変えられて、同じ経営者としてそういった事態は怖いなと、よくそこで決断されたなと、非常に感銘を受けております。全く前例がないといいますか、ゴルフで言うとラインがないというところで、自分が一番最初にやらないといけない怖さみたいなところっていかほどだったのかなって思います。
上田:その当時は、考えることよりも行動に移すことが先行していたので考えるということよりすぐ行動に移すことに専念していました。今となってはそれが良かったですね。
ー名古屋でビジネスをすることのやりがいや楽しさがあれば教えてください。
上田:最初に思ったのは、名古屋ってこんなに商売が楽かと思いました。「楽」と聞いて誤解してほしくないんですが、事業を始めた福井県敦賀市は人口が約6万人と少ないんです。名古屋市が約229万人で、敦賀市では約6万人のところで競争することになります。人口が多いほどレンタル需要も多いので、「楽」だと感じました。
長江:AI関連企業が全国に500社程度あります。そのうちのほとんどが東京に拠点を置いています。このような環境で名古屋から始めるのは大変でしたが、お客様に「名古屋の会社」ということで選んで頂けるのは私としては凄く嬉しいです。
「ありがとう」シンプルな言葉でも自分への影響力は大きい
ー名古屋でビジネスを続ける中で、お客様からかけられて嬉しかった言葉はありますか?
上田:やはり「ありがとう」ですね。お客様から言ってもらえるのが一番です。その言葉があって、これまでやってこれたのかもしれません。設立当初からのお客様で今でもお付き合いがあるのですが、現在は経営者としても非常にお世話になっています。人との縁も大切だと実感しますね。
長江:もちろん私も、一生頭が上がらないなという先輩経営者がいらっしゃいますね。でも「ありがとう」と言われるとシンプルな言葉ですけど嬉しいです。
ーどのように地域に貢献したり、還元していけたりしたらよいとお考えでしょうか?
上田:足場は建設やリフォームに必要不可欠なモノで、インフラを支えている事業だとも考えています。そのため色んな方と情報共有をして繋がりをつくって名古屋に貢献していきたいです。もっともっとみんなで手を取り合って名古屋を盛り上げていくような気概を持ってやらないと、取り残されてしまうと思うので…。
長江:やはり名古屋って、自動車のイメージが非常に多いんですけれど、実は繊維の街なんです。
そういった土地柄もあって、私達の創業はアパレルの需要予測から始まっております。非常に多くの色やサイズの服をどれだけ、どこに運ばないといけないのかというのをまさに予測しています。必要なものを必要なときに必要な分だけ、必要なお客様にきちんとオンデマンドでお届けできるというのは、予測なくしては不可能なので、それがまさしく私達が地場でやらせていただいている理由でもあります。お客様が実は名古屋に多いので、名古屋で頑張らせていただいておりますし、今後も名古屋に貢献できるように活動してまいります。
名古屋から世界へ
ー今後の展望について教えてください。
上田:せっかくご縁があってトライエッティングさんとお付き合いができたので、最近流行しているChatGPTをうまく活用した何かが出来ないかと考えています。足場は直線型ビジネスで、特にアジアでは買って廃棄されています。5年くらいで材料が駄目になっちゃうものですから、レンタルって感覚全くないんですよ。そこをうまく利用して名古屋から世界に挑戦していきたいです。
長江:行動変容といいますか。思想を変えていかないといけないですよね。
上田:足場調達したいならどうしたらいいのってなったときに、ベトナムでもChatGPTで「ASNOVAで足場を借りることが出来ます」ってうまく出来ないかなと思っています。
長江:私達もベトナム・ハノイに行くことがあるのですが、建築ラッシュですよね。今御社が力を入れていらっしゃる、くさび式足場をいかに簡単に組み立てられるかというご教育までされていると伺っていて、凄く本質的だなって感じています。これからますます発展していく国の、建築水準の上昇に、御社がソフトとして貢献されているような未来が見える気がしますね。
ものづくりの現場において、データを活用してものづくりをする、特に予測業務を行うというのは、世界的にもあまり事例がないんです。心理的ハードルが高く、予測結果によりかかって製造する勇気がない方が凄く多いです。その行動変容が直近2〜3年で私達を介して、色んなお客様に促すことができたなと感じております。日本の建築プロセスや製造プロセスは類を見ないほど複雑なので、日本で通用するノウハウって海外で必ず通用するんですよね。ですから、グローバルでご活躍される会社様の「黒子」になりたいというのが今後の発展したいあり方かなと思っています。御社の成長の一助になればと思っております。マーケティングも実業もどちらもご一緒できればと思っております。
この対談は、株式会社トライエッティング様とのコラボレーション企画となっています。
株式会社トライエッティング様のホームページに、長江社長と上田が「足場×DX」をテーマにお話しする対談記事が掲載されています。
この記事と併せてぜひご覧ください!