異なる視点からの学びの共有
「 MOKKEI」とはどのような取り組みですか?
藤原:「致知」という人間学を学ぶ月刊誌を通して、偉人の人生や考え方を知り、自らに落とし込んでその感想をシェアする輪読会です。当社の人事制度「ASNOVA WAY」の一環として、40名ほどの社員が集まり、3〜4人のグループに分かれて行っています。
もともと、上田社長が「致知」を購読しており、そこから得られる学びや人間力の重要さを社員にも浸透させたいという思いがありました。社員一人一人の人間力を高め、互いに尊重し合い、人間的に成長できる場として「MOKKEI」を開催しています。
「人間力」はなぜ重要なのでしょうか?
藤原:私たちは「人間力」を、人や組織を惹きつけたり動かしたりできる対人影響力や行動力、発想力を総称するものと考えています。時代に合わせて柔軟に人々を導けるリーダー性を身につけ、人の心を動かし、導くことができる人を養うために、人間力は重要だと考えます。
また「致知」の教えのなかに、相手の短所や欠点に目を向けるのではなく、長所や徳性に目を向ける「美点凝視」という言葉があります。人間力を高めることで、一人でも多くの社員がその意識を持てるといいと思います。
参加することでの学びや、みなさんの様子について教えてください。
藤原:参加した社員は「同じ記事を読んでいても、視点も感想も異なるところがおもしろい」「仕事でしか話したことがない人でも、普段どのようなことを考えているのか、人柄がわかっておもしろい」とよく口にしています。他人の価値観に触れることそのものが、学びになっているのではないでしょうか。
はじめは「大変そう」「自分に読めるのだろうか」と困惑する社員もいますが、参加を重ねるうちに発言の内容も充実してきて、人前で発表することができるようになっています。私の実感ではありますが、思っていた以上にみなさん前向きになってきている印象があります。「言われて参加する」から「すすんで参加したい」という気持ちに自然となっていけるように、見守っていきたいと思います。
多様性を認め、相手を敬うことが会社の成長に繋がる
MOKKEIを実施することは、ASNOVAにとってどのように役立つのでしょうか?
藤原:上田社長は常に「人生を豊かにしてほしい」と話しています。それはまさしく「致知」を通して人間学を学び、人間力を高めることで培われると思っています。
また、役職・年齢関係なく参加し、グループ分けもくじ引きで決めているので、多様性にも触れることができます。他人の考えを受け入れ、相手を敬うことが、人間としての成長になる。そしてそのような人間の集まりが「会社」となることで、ASNOVAの成長にもつながるのではないでしょうか。私たちは、このような取り組みがASNOVAの文化を醸成していくと信じています。
今後の「MOKKEI」のあり方についてお聞かせください。
藤原:人間力を高めることが目的ではありますが、定期的に集まる機会があることで、社内の円滑なコミュニケーションにも繋がります。いろいろな人を巻き込みながら会社を作り上げていくうえでも、まずは一人でも多くの社員に「MOKKEI」に参加してもらいたいと思っています。人前で自分の意見を発表することがない社員にとっても、何をどう話したら伝わるかを考えることができるので、そういった力も身につけることができるのではないでしょうか。
今後のキャリアの中で、この「MOKKEI」での経験が役立ってくれたらうれしいですね。