RECRUIT

Text:吉澤 瑠美
Photo:加藤 甫

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PROIFILE

竹内 俊祐
総務人事部。2019年、ASNOVA入社。人事・総務の業務を務める
田中 尚美
総務人事部。2021年、ASNOVA入社。人事・総務の業務を総務人事部部長として業務を務める。
小島 和人(ハモ)
株式会社ロフトワーク、プロデューサー。専門学校で建築を学びその後、デザイナー、ディレクター、プランナーとして新規ブランド / 店舗 / 商品開発 / PRプランなど広く携わる。個人では美術作家「ハモニズム」として活動し、ファッション / 植物研究 / 都市菜園などのコラボによりジャンルを越境した作品づくりを行う。 2018年ロフトワークに参画し、新規事業創出や共創空間作り地域産業推進など幅広くプロデュースを担当。2020年からはSFプロトタイピングなどの手法を積極的に取り入れ、先行きが見えない社会の中で企業や団体がこの先で何をすべきか?を提案している。企業人としても作家としても「未来」に対する問いの設計に興味がある。あだ名は「ハモさん」
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予測困難な時代を生き抜くための力を養う 教育プログラム「AMP!」とは?

ASNOVA社員がオフィスを飛び出し、地域の課題解決を通して自分の価値観を再認識し、さらなる目標に向かって大きく「変容」していくための社内教育プログラム「AMP!(ASNOVA – Metamorphose – Program – !)」。そのユニークなプログラムが誕生した背景には、どのような思いがあったのでしょうか。また、なぜ「変容」が必要なのでしょうか。 AMP!を企画運営する総務人事部の田中尚美さんと竹内俊祐さん、このプログラムを提案したロフトワークの小島和人さんに、2021年7月に開催された「AMP!2021」を振り返っていただくとともに、このプログラムが目指す未来について伺いました。

Text:吉澤 瑠美
Photo:加藤 甫

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竹内 俊祐
総務人事部。2019年、ASNOVA入社。人事・総務の業務を務める
田中 尚美
総務人事部。2021年、ASNOVA入社。人事・総務の業務を総務人事部部長として業務を務める。
小島 和人(ハモ)
株式会社ロフトワーク、プロデューサー。専門学校で建築を学びその後、デザイナー、ディレクター、プランナーとして新規ブランド / 店舗 / 商品開発 / PRプランなど広く携わる。個人では美術作家「ハモニズム」として活動し、ファッション / 植物研究 / 都市菜園などのコラボによりジャンルを越境した作品づくりを行う。 2018年ロフトワークに参画し、新規事業創出や共創空間作り地域産業推進など幅広くプロデュースを担当。2020年からはSFプロトタイピングなどの手法を積極的に取り入れ、先行きが見えない社会の中で企業や団体がこの先で何をすべきか?を提案している。企業人としても作家としても「未来」に対する問いの設計に興味がある。あだ名は「ハモさん」
左からロフトワークの小島和人さん、ASNOVA総務人事部の田中尚美さん、竹内俊祐さん

VUCAの時代を生き抜くために、ASNOVAならではの教育プログラムを

田中さんは2021年の4月にASNOVAへ入社されたばかりだと伺いました。

田中:本社機能に携わりたいという思いが強く、新卒から25年勤めたIT系の企業から転職しました。それまでは人事・社員教育の業務に長く携わっていたので、経験を活かせる場を求めていたところ、お声掛けいただいたのがASNOVAで、面白い取り組みをしているなと思い入社しました。
AMP!は、私が今までやってきた教育の概念と全く違いました。入社して2日目に小島さんとオンラインミーティングでお会いしてAMP!のお話を伺ったのですが、何のことかさっぱり分からなくて。ミーティングが終わった後に、竹内から「実はこういうことをやっていてね」と話を聞いて、すごいなと驚いたのを覚えています。
 
小島:思い出しました。最初にこの提案をしたとき、竹内さんにも「小島さん、何言ってるか分かんないですよ」と言われましたね(笑)。
竹内:はい、言いました(笑)。僕が分からないということは、おそらく他の方々にも分からないので、これをどう具現化していくのかが難しそうですね、という話をしました。

つまり、竹内さんはAMP!という企画が立ち上がる前から教育プログラムに関わってこられたのですね。

竹内:教育プログラムについて僕が関わり始めたのは、2020年10月頃からですね。ある程度のところまでは社内で作り上げたのですが、行き詰まってしまい、外部の力を借りることにしました。
 
いわゆるeラーニングや階層別研修のようなものではなく、ASNOVAだからこそできる教育プログラムを作りたい、と半年近く社内で打ち合わせをしたのですが、答えは見つからず、最終的には何も進まない状態に陥ってしまいました。そこで、いくつかのプロジェクトをご一緒しているロフトワークさんに、教育プログラムについてもご相談してみることになりました。

社内の教育プログラムを新しく作ろうというプロジェクトには、どのような背景があったのでしょうか。

竹内:「企業とは人である」、つまり企業が成長するには社員の成長が不可欠だというのが代表の考えです。社員の成長していく姿を見て「ASNOVAで働きたい」という人が増える。そのためには、社員が成長するための仕組みが必要だということになったのです。
 
プログラムを考える際、代表に何度も言われたのは「相手が自分の子どもなら甘やかさないはず」「生きる力を身に付けさせるのが親の務め」という言葉。「教育する機会を与えるということは、課題を乗り越える力を身に付けさせること」だと言っていました。
 
田中:現代ではいわゆるVUCAの時代に生き抜く力は不可欠です。むやみに福利厚生や待遇を良くするのではなく、社員の自発的な学びを支援することこそ会社が提供する真の有益性である、と理解しています。
また、2021中期経営計画の中で、既存事業の強化と事業の多角化を今進めているのですが、その2つを推進するために重要なのが、新しい事業・サービスを担う人材の育成です。そこで人事制度の見直しの一環として、教育分野でAMP!が位置づけられているのです。

AMP!を通じて「失敗」が失敗ではない、と学んだ

今回のAMP!では、ロフトワークはどのようなプログラムを提案されたのでしょうか。

小島:ASNOVAには、以前から一般的な知識やスキルを身に付けるプログラムは実装されていました。それでもなお必要ということは、インパクトのある育成プログラムが求められているということが一つ、代表が将来考えている将来像を実現・実行できる人材が必要であるということがもう一つのポイントだと理解しました。
 
VUCAの時代に、今までのビジネススキルとリーダーシップだけでは先行きが不安です。高度デザイン人材、つまりアイデアと価値観を自分で見極め、仮説を立てて、周りを牽引できる人材。そこにはリーダーシップとビジネススキルだけではなく、デザインとアートの力が必要です。アートの部分は、何が問いであるかを見極め、自分で仮説を立てること。それを誰かに伝わるようにしていくのが、デザインの力です。そして、それを最終形にしていくのがリーダーシップ、ビジネススキルなのです。
そこから先は、ディレクターを交えてプログラムを具体化していきました。ある地域で課題を持っている人とASNOVAの皆さん、クリエイターの三者で対話しながら問題を発見し、仮説を立て、提案していく。この一連の流れによって、先ほど説明したデザインとアートの力を身に付けていくというのはどうだろう、と提案しました。
 
竹内:一度実施したことなので、この説明で我々も理解できますが、当時はデザインやアートの力がビジネスにどう関わっていくのか、正直想像もつかなかったので、小島さんの提案が理解できませんでした。
 
田中:だから、私たちも竹内さんと「取りあえずやろう」って(笑)。
小島:ASNOVAの皆さんはそこがすごい。「新しい」ということは、つまりまだ存在しない価値が含まれているということです。一見すると、アイデアを考える人のほうが創造性が高いと思われがちですが、実は「なんか分からないけど、いい」と言える人のほうが、僕はよほど創造性が高いと思っています。「なんか分からないけど、いい」と言える力は、おそらく今後誰もが身に付けていくべき力だと思いますね。

竹内さんがこのプログラムに参加して、印象的だったことはありますか。

竹内:一番印象に残っているのは、何かを作り上げる人と組織で働く人には違いがあるんだな、と気付いたことです。組織に所属している人の多くはゼロイチが苦手です。0が1になった瞬間、その1を捨てられなくなるのです。クリエイターの方々は、まずゼロイチにするための発想が組織の人間と違うというのと、その1が2や3になる可能性だけでなく、捨てて0に戻る道も同じように選べるのがすごく面白いと思いました。
もう一つすごいと思ったのは、課題を持っている事業者の方は、日頃からあらゆるアイデアを考え尽くしているので、デザイナーさんの提案にも「やったことがあるけれどダメでしたよ」「たぶんダメだと思います」と返すのですが、デザイナーさんは気にせず「やってみないと分からない」と押し切るのです。実際にやってみると、たしかに失敗に終わるけれど、その失敗から違ったことが見えてくる。
 
これはサラリーマンの僕にはない思考だな、と思いました。でも、これからASNOVAを支えていくのは、この事業者さんやデザイナーさんのようなことを実践できる人材だとも思います。「新しいものって、こうやって生まれるんだな」と感じました。
 
小島:たしかに、失敗が失敗ではないですよね。あくまで検証であって、100通りの中からはまる1パターンを見つけていく。99パターンは失敗ですが、それがないと1パターンを見つけることはできません。この失敗はなぜこうなっているのか、これがどう繋げられるかをしっかり考え、いろいろな方向にパスを繋いでいくと、ゼロイチが瞬発力で上がってくる土壌を作っていけると思います。

次回のAMP!で実現したいこと、次回に向けて改善したいことはありますか。

竹内:今回のAMP!は、テーマオーナーが抱えている課題の解決が中心だったので、参加者にとって他人事になってしまった点ですね。実際、今回はASNOVAから4人が参加しましたが、継続してテーマオーナーの方々と課題に取り組んでいる方はいません。
 
これがASNOVA自身の課題や足場業界の抱える課題をテーマに、本気で考え、課題を解決しようというお題であれば、「いつかビジネスの種になる」「いつかASNOVAにとってプラスになる」と考えて、もっと主体的に動けたのではないかと思います。
 
小島:僕も振り返りに参加した際、「ASNOVAのプログラムですよね?」という疑問がありました。「自分はASNOVAの誰で、どんなことを考えています」という武器がなく、主体性のある対話がそこまで醸成されていなかったから対話の盛り上がりに欠けたのだと思います。次回は問いと仮説を持った上で参加する設計にしたいですね。仮説の作り方も、ASNOVAのパーパスを理解することを前提として、それぞれ自分の立場で咀嚼し、噛み砕いた仮説があれば、クリエイターでなくても十分に対話ができると思います。
少しハードルが上がりますが、次回はまず対話の土壌を作ることが必要でしょうね。そうすれば、自分事として捉えられるようになっていくのではないかと思います。
 
田中:代表の上田も、最終プレゼンで「仮説をもっと入れてほしかった」と言っていたので、今のお話にも結び付くことですね。

普通、の枠から解放されればとんでもない力が発揮できるはず

第2回を今後企画するとして、どんな方に参加していただくと良いでしょうか。

田中:今回は第1回でトライアル的な位置づけもあったので、公募制にせず私たち総務人事側で選んだメンバーに参加していただきましたが、2回目は性別・所属を問わず広く募って、自発的に手を挙げてほしいと思っています。
 
また、初回は管理職のメンバーが中心でしたが、もう少しレイヤーを下げて、入社2、3年目の若手メンバーにぜひ参加していただいて、今後に活かせる教育プログラムにしたいですね。
小島:たしかに、3年以内に新規事業へと発展する可能性を考えると、3年目以下ぐらいの人がベストかもしれませんね。パーパスを分解して咀嚼し直したり、既存リソースを分解して考えたりすることを考えると、社歴が浅いほうが柔軟な発想を広げやすいようにも思います。
 
竹内:第2回は、もっとエリアやスケジュールを拡大してもよいのではないかと思っています。今回は福井県の鯖江市に物理的に集まるプロジェクトで、鯖江まで来られる人、その日程が空いている人という条件が付いてしまいました。例えば、関東勤務の方と関西勤務の方がオンラインで集まって、アイデアを出し合ったり議論を深めたりすることができると、可能性がより広がると思います。
それに、今回は短期集中型だった分、通常業務との兼業が苦しくなってしまったので、1か月、2か月と期間をかけて熟成していくようなプログラムにすることによって、兼業の負担を下げつつ、デザイナーさんや応援してくれる人たちと繋がりやすくなるのではないかと思います。やり方を工夫して、もっと参加しやすく、継続しやすいプロジェクトにしていきたいです。
 
小島:それはすごく良いですね。オンラインにすれば参加率も上がるでしょうし、外国にも繋げられますね。時差も考慮すると、アジア辺りが良いかもしれません。日本からもさほど遠くなく、近い文化があって、顔立ちも似ている。一方で、例えばテクノロジーに関してはアジア各国のほうがすでに進んでいるし、サステナブルの観点においても、タイや台湾から学べる部分ははるかに多い。
 
このAMP!というプログラムの魅力の一つは、言語や価値観が違う人との対話によって自分の視点を変化させていく点にあります。近くて遠いアジアの人々と知り合っていくと、楽しいことになりそうですよね。
竹内:サラリーマンは、与えられた仕事をしていればお給料がもらえる分、思考を止めてしまいがちなのが課題だと思っています。それに気付けるAMP!というプログラムは、やっぱり面白いですね。
 
小島:AMP!を通して、参加者がある意味でクレイジーになったらいいなと思います。「普通こうだよね」と言わなくなると、とんでもない力を発揮できるようになると思うのです。
 
竹内:社内でも「足場業界」という言葉を使いがちですね。僕は逆に足場とは全く関係のない業界から転職してきたので、「足場業界って分からないんですよ」で終わらせてしまいます。これが、新しい種を生み出せない理由の一つなのかもしれません。
 
田中:そういう意味でも、たしかに入社3年目ぐらいの方はまだ凝り固まっていないから、ターゲットにするにはいいかもしれないですね。
小島:方向性を考える際、「新しいことをやりましょう」「守っていきましょう」のどちらかに寄せがちです。AMP!のプログラム自体はAMP!に参加する新しい人向けですが、その人たちのアイデアをサポートできるのは、間違いなく今の組織を形作る先輩方です。AMP!によって、常に新旧入り混じる状態を起こしていくことができるのではないかと思っています。
 
竹内:AMP!6期生がAMP!20期生を助けるみたいな未来が生まれたら面白いですよね。「僕も以前はそう考えたけれど、それはちょっと甘いんだよね」「僕の経験だと、こうしたらうまくいくと思うよ」という意見交換が社内で回り始めると、とんでもない会社になると思います。
事業を失敗する人もいるでしょうから、その失敗の経験談が、次のAMP!のメンバーに伝わることによって、情報が共有され、会社全体的に利益が生まれてくるという仕組みは、AMP!が生み出せるかもしれないですね。
 
小島:良いですね。そうなったらもう、長期的に見れば失敗は失敗でなくなる。素晴らしいと思います。

「AMP!」記録映像

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